LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

成美はバックヤードから飛び出して来た芽ちゃんを受け止めると、疲れ切った表情の下川さんも出て来る。

ここでは人目もあり、店を出て、コインパーキングに停められた下川さんの車、パッソに乗る。



「何があったの?」



後部座席では、ただ泣き続ける芽ちゃんの涙を、成美がハンカチで一粒も溢さないように拭ってる。



「……暢が…“払う”って…聞かないのよ…っ…」



「なら、どうするんだよ…」



下川さんは深い溜め息を吐き捨てる。

いつもとは違うキツい口調に、苛立ちが良く見える。

物腰が柔らかい下川さんの本来の姿が見えない。