LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

俺が死ぬとしたら、大切な人には、傍でギリギリまで笑顔で過ごして欲しい。



「あの…名前を訊いても良いですか…?」



…名前、言ってなかったか?



「香椎海斗。海斗で良いから」



「…海斗さんは、大切な人に余命を宣告された時、笑って居ますか?」



「俺は、死ぬ日を見るより、今を見て、楽しんで過ごしたいと思う」



「大人、ですね」



彼女はタオルを握り締めた、手を見つめてる。

悩ませてしまっただろうか。

俺の、一方的な意見で。

謝ろうかと思った刹那、テーブルに乗せてた左手に、彼女の小さな左手が重なった。