LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

「10年前、母が癌で亡くなって…悲しかったけど、生きて来ました…。仕事の都合で、単身赴任で傍に居ない父を何度も…恨みながらも……」



「……」



「でももう…誰が、何が悪いのか…わからないんです…。お姉ちゃんである歩ちゃんが…母と同じ子宮癌になって1年……余命が2ヶ月もないなんて…っ。家族が壊された…ッ…!」



「…そんな事ねぇよ」



隣に移り、肩を引き寄せ、頭を撫でた。

ヒクヒクと…嗚咽交じりに泣く彼女は、「あります…」と、反発して来た。



「家族は一つじゃない。親父さんも居る。君もいつか、家族を持つんだ」



在り来たりの台詞を聞く彼女と目が合う。