LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

自身も行き違いに来た電車で、2駅先のマンションの最寄り駅へと来た。

雨が降ってた為、駅前のコンビニで傘を買って、特に何も考えず、歩みを進める。

マンションまでもう少し。



「……ん……?」



車道を挟んだ歩道を、傘も射さずに歩く、稲垣さんを発見。



「君…、稲垣さんだよね……?」



車が来てないのを確認し、車道を横切って駆け寄り、彼女に傘を傾けながら声を掛けた。



「…クっ…、こんばんは…」



嗚咽が聞こえた気がしたのは気のせいか。

…いや。

気のせいではない。

チラリと俺を見上げた彼女の目から、大粒の涙が落ちた。