「糸田さん、他に男が居るみたい。体だけらしいけど、私は親友が年下に遊ばれてるとか見てられない」



「へぇ…」



紗英子の気持ちには感謝するが、どこか都合が良いと思った。

優里と別れる為の、便利な言い訳が出来た。

女に責任を擦り付けるなんて、男がする事ではない。

しかし…他に理由になるネタが浮かばなかったのが事実。



「紗英子、ありがとな。電車も来たし帰れ」



「私は隠せないだけですよー。
じゃ、本当に気を付けて!」



ホームに入って来た電車に、紗英子は後ろ手を振りながら、乗り込み、去って行った。