LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

ジャージに、サマーニットの帽子を被った成美は、顔にもガーゼが付けられて居る。

肩甲骨まであった筈の髪の毛は見受けられない。

…本当に、全剃りされたのか。



「海斗が何をどう話したか知らないけど、私には彼が合うの。今の貴方には、どうにも…」



ーーバチン…ッ



「何するのよっ!!」



成美が優里の頬をひっ叩いた。

乾いた音で、周りの人まで反応し、2人を見てる。



「――だからって、“妊娠”だなんて、優しい海斗を惑わすような嘘を吐かないで!海斗が好きなら、正々堂々と私から奪って下さいよッ!!」



…“惑わす”、ねぇ。

成美も馬鹿だな。

自分の手も痛くなるのに、あんな強く平手打ちして。