―――病院に着くと、サイレンが鳴りっぱなしの救急車が停まって居た。 以前にも来た、大学病院の救急外来は、待ち合い患者は居ないものの、騒がしい。 「A型の輸血が足りません!」 「先ず男性からお願い!」 「はい!」 声を掛けようとした看護師は、目の前でどこかに居る誰かに叫んでる。 「すみません…」 「はい?」 「稲垣成美が運ばれたと思うんですが」 「ご家族の方?」 「はい」 誠之介君が話し掛けると、手にしてるカルテから、こちらに視線を向けて来た。