LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

晩御飯をたまに届けると、喜んで電話やメールをくれて。

“家出する時はどうぞ”って、冗談も言えるほど、元気にもなった。

歩ちゃんが亡くなる前の様にね。



「そっか。寂しいけど、みんな元通りなんだね」



立ち止まっても、みんなで乗り越えた1ヶ月。

誠之介君が泣いたのは、葬儀の後は一回だった。

引っ越しの時に、海斗と呑んでたら、急にトイレに籠って。

私がバイトの時、いつも海斗と2人で食事してるらしいけど、涙は見せた事がないらしいのに。

誠之介君も案外、強がりだ。

私の事、言えないよ。