芽ちゃんと下川さんにせがまれ、一緒に火葬場へと来た。
黒煙を見つめ、ベンチに腰掛けてる成美を見付けたが、唄う姿に足を止めた。
繰り返される歌。
涙が流れて居るが、拭う素振りを見せない。
気付いてないのだろう。
唄い終わったのを確認してから、隣へと座る。
成美の涙を拭うと、「盗み聞き?」と、言われた。
茶化してる気なんだろうか。
涙のせいで、失敗してるけど。
自分で涙を拭えない成美は、腕へとしがみ着いて来た。
「海斗さんが居ないと…、どうしてもダメなの…っ…」
成美からのSOS。
離れて立つ芽ちゃんと下川さんが、霞んで見えた。

