葬儀社の人が、慌ただしく出入りする家。
明日の朝には、葬儀が行われる為に、準備や誠之介君との打ち合わせがある。
私は遺品となった、歩ちゃんの宝箱を開けた。
“これは、私が死ぬまで見せない”と、封印されてた宝箱のテープを外すと、中から指輪とビデオカメラのテープが出て来た。
「これ…」
指輪には、見覚えがあった。
母親の婚約指輪。
確か……歩ちゃんが欲しがって、“アユがお嫁に行く時にあげるわ”って約束してたから、父親が結納の前日に手渡したんだ。
しかし、これはまだ最近と言っても過言ではない。
つまり本当の宝物は、このテープだ。