「……楽しい思い出を胸に、逝きたかったんですね。けど、急ぎ過ぎですよね……」



サングラスを外し、窓を開けた誠之介さん。

窓から入る風で、涙を乾かすつもりだろうか。



「頑張ったもんな?歩美…。
パパたちが、誠之介君を支えてやるから、安心しろ…。安心しろ、歩美……」



途中、パーキングエリアで車を停めて貰い、運転を代わった。

助手席に来た成美の手を握り、誠之介さん家、成美のアパートを目指した。

自宅で寝かしてやりたいという、誠之介さんの気持ちを叶える為に。

歩美さんも、もう病院は嫌だろう。