「誠之介…」



「どうかした?」



「お父さんを…守ってね…」



「もちろん」



「私ね…誠之介に…会えて良かった…。好きになれて良かった…」



「…ん…」



「ごめんね…一緒に居れなくて。愛してるのに…ごめん、ね……せ………」



歩美さんの声は、聞こえなくなった。

3人で涙を流してると、「歩美…」と、絞り出されたような声。

少しだけ振り返れば、お父さんが起き上がり、歩美さんを抱き締めてる。

眠ってるような、穏やかな顔。

成美はカーディガンの袖口で涙を拭いながら、沈む夕陽を見てる。