「いっぱい観光したねー。楽しかった!」
帰り道の車内。
お父さんが3列目のシートで寝てる中、歩美さんはご機嫌な様子。
途中、車椅子から降りて歩く姿には、感動した。
「ありがとう、ナル。5人で来て、正解だった」
「うん」
サングラス越しに見たルームミラーから目を背けた誠之介さんを見てから、歩美さんを見た。
歩美さんは涙を流しながら、成美の肩に凭れて居た。
「海斗さん…ナルをよろしくお願いします…」
「…うん」
「ナル…誠之介に甘えて良いんだからね…」
「わかってるから…何も言わなくて良いから…」
思わず、涙が溢れた。
この虚しさは、何だ…。

