LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

「遺言なんて戯けてたが、歩美の気持ちを大切に、俺たちは生きて行こう。次は、パパ・誠之介君・成美・海斗君で、旅行だな…。歩美は、ママと来るだろうよ」



拭っても拭っても、追い付かない涙の量。

目頭を押し付けてる父親のスーツの肩口が、びちゃびちゃになってしまった。



「明日は夕暮れまで、5人で楽しむぞ?涙は、今だけだ」



「うん…っ…」



父親は、奥さんであった母親を亡くした時、どんな気持ちだっただろう。

横顔に、あの日の寂しさが滲み出てる。

誠之介君も、こんな表情を浮かべる日が、来てしまうのか…。