5人いる先輩の中で、ただひとりだけ際立ってオーラのある人がいた。


短く切った黒髪、規定のシャツをちゃんと第1ボタンまで留めて、シャツの裾もきちんとズボンの中に入ってる。



目立った派手さはないけど、硬派なイケメンっていうのかな。



切れ長の目にスッと通った鼻筋。



柴田先輩と思われる人は、かなり整った顔立ちをしていて、イケメンなのはもちろん、身長が高くてスタイルもいい。



ただ……そこに立ってるだけなのに、あたしはその先輩から目を離せずにいた。



「柴田先輩、今日の合奏頑張って下さい!」



ブラバンの1年の部員の女子が、恥ずかしそうにそんなことを言ってるのが聞こえてくる。