「キャッ!」

叶矢はいきなり抱きしめてきた。

「あんまさ…ため込むな…寂しい時は寂しい…嫌な時は嫌って言えよ…。」

叶矢はボソッと小さい声でそう言ってきた。
正直私はビックリだった。
叶矢の口からそんな言葉が出てくるなんて思ってなかったから。

「…俺が…俺が全部救ってやるから…」

叶矢は付け足すように言ってきた。
私は泣きそうになった。
嬉しかったから…。
今なら言えるかもしれない…。
言ってもいいかもしれない。

「うん…ありがとね?叶矢…。…ホントはね、私…叶矢とこうしていたいんだ…私が卒業するまで…。でも…無理だよね?わかってる…」

叶矢は私の頭をポンッと叩いて、

「大丈夫…一緒にはいられねーけど…必ず会いに来るから…」
「どこに?ここに!?」
「学校に会いに来なきゃどこに行くんだよ!あ!楼栗ん家があったか!」
「うん…じゃぁさ!たまに学校に来て、たまに家にきてよ!叶矢だって学校あるんだし!」
「おぅ!わかった!浮気すんなよ?」
「しないし!叶矢だってしないでよ?」
「あたりまえだろ?こんなに可愛くて、からかったら面白い女がいるのにするわけねぇーじゃん!」
「なんかちょいとバカにしてるね!」
「してねーよ!バカ!」

二ではしゃいでいると―――。
チャイムが鳴った。

「楼栗たちー!下降りよー!」
「うん!わかった!行こ!叶矢!」

私たちはちえりと涙梨のところへ行き、下に降りて行った。
私たちと叶矢たちがわかれる…いや卒業するまで1週間を切った。
操業目で私たちはなるべく一緒に過ごした。
中休みも昼休みも全部―――。
でもだんだん過ごすたびに寂しくなる気持ちの方が大きくなった。