いても立ってもいられず、私は翌日の部内会議の後で野中部長に声を掛けた。


もしかして三田君から桐原さんのことを聞いているかもしれないと思ったのだ。


しかし


「仕事以外の話ならお断り」


口を開く前から、ぴしゃりと言われて追い返された。


それはそうだ。

すでに季節は11月。

経理部にとっては年末も同然で、報告書やら計画の見直し、諸表の取りまとめと平行して、頻繁に他部署との打ち合わせも行われている。

年度末や決算に比べればまだ落ち着いている方だが、それでも残業してやっと仕事が回るくらいの忙しさだ。


そんな時に仕事以外のことに気を取られている自分のほうがどうかしている。


デスクに戻ると、ノートパソコンのメールアラートが点滅していた。


(……部長からメール?)


慌てて受信メールを確認する。


《確かに彼も桐原君のことは心配してたけど、私が詳しいこと知ってるわけないでしょ。心配なら自分で会いに行ったら?居酒屋のバイトは続けてるらしいよ。》


(……~~~ぶ、ぶちょぉお……)


何だかんだで世話を焼いてくれる部長に心から感謝した。