帰宅してみると、これまで日別アクセス数が一桁を越えたことがなかったサイトのアクセス数が、1日で1万アクセスを突破し、メールフォームからのメッセージは50通を越えていた。


メッセージはいずれも某巨大掲示板の文面をそのままコピー&ペーストしてきたような内容だったが、中には


《ステマ乙wwwwww》
《よくファン名乗っていられますね》


といった、管理人である私への直接的な批判を含むものもあった。


桐原周也を攻撃しようにも、本人によるブログやツイッターが存在しないため、検索サイトで引っかかったこのサイトがターゲットにされたのだろう。

もしメールフォームではなく、BBSを設置していたら……と考えるとぞっとする。


(これ以上見てはいけない――)


私はそっとノートパソコンを閉じた。

その時初めて、自分の手が震えていることに気がついた。


見えない相手からの悪意が敵意が、これほどの恐怖を生むとは思わなかった。


彼女たちは、高橋悠から赤道周役を奪った桐原周也のファンの存在すらも許せないのだ。



非公式のファンサイトですら、これほどの攻撃を受けているのだから、本人へのそれは計り知れない。

掲示板によれば、出版社や制作サイドに直接抗議している人もいるようだし、騒動の内容は事務所にまで下りていると考えてほぼ間違いない。