決して安い代物ではない。


台座に輝く紅玉はおそらく本物だ。



しかし私なりに桐原さんへの応援の気持ちを、形にして示したいという思いがあった。



明らかにメンズのブレスを持ち込んだ私に、対応した女性店員は一瞬口を開き掛けたが、事情を察したようにこっそりと微笑んだ。


そして渡された袋には、さりげなく赤のリボンが施されていて、その心遣いに、私は心の中で何度も頭を下げた。





一通り買い物を終える頃には、日も完全に落ちきって、街はすっかりネオンに包まれていた。


「この後食事でも!」としきりに詰め寄る翔くんに、桐原さんは

「残念ながらこれからバイトなんで、買ったものを一度家に置いて来ないと」

と、戦利品の詰まった大きな5つの紙袋を見渡した。


手持ちの服がほとんどなかった桐原さんのために、帽子からベルトから靴まで、一通りを揃えたのだ。

その荷物の量は半端ではない。


荷物に目を向けた翔くんは、納得しながらもがっくりと肩を落とした。