愛★ヴォイス

(――何これ!何これ!何これ!何これ!)



胸の奥がかき乱され、一気に顔が紅潮するのがわかる。



桐原さんだ。



この声は間違いなく、桐原周也だ。



何で?どうして?別名義ってこと?



むくむくと沸き上がる疑問の山を前に、一つ深呼吸する。

ゆっくりとした動作で、床からヘッドフォンを拾い上げ、装着した。


別のキャラクターのサンプルボイスも聴いてみる。

すると驚いたことに、どのキャラクターも聞き覚えのある声ばかりだった。

つまり18禁作品ということで、全員が別名義を使っているということになる。


(知らなかった……)


どうして桐原さんがこの仕事について知らせてくれなかったのかは、塩麹玉子の“VOICE3”ボタンを押してわかった。

再びヘッドフォンを投げ出しそうになるほどの、挑発的で卑猥な台詞。


思えば、桐原さんはBLCDに関しても一切出演を知らせてくれたことはなかった。


(当然と言えば当然……か)