愛★ヴォイス

「どうです?真下さん、驚きました?」

「驚くも何も、驚きすぎて腰抜かしてたわよ」

「うっ……」

(部長にはバレてる?!)


遠慮なく笑う三田君の横で、お酒の到着も待たず、お通しに手を出している部長もまた只物ではない。

こうして二人を並べてみると、とてもお似合いのカップルに見えてくるのだから不思議だ。



ビールが届いて、お疲れ様の乾杯をする。

そうしている間にも、時折接客中の桐原さんの声が耳に届いて嬉しくなる。


どんな喧騒の中でも、彼の声は一音一句はっきりと聞こえて、私の胸をときめかせる。



「真下と飲むのなんか久しぶりよね。最近ますます付き合い悪くなっちゃって、仕事終わったらすーぐ帰っちゃうんだから」

「あ……それは――あはははは」


(サイトのアクセス数が気になって)


という本当の理由にとって替わる適当な理由が見つからず、思わず笑ってごまかした。


「そりゃ真下さんだってプライベートの時間、色々やりたいこととかありますよね?ご趣味とか。
真下さんはお休みの日とかどんなことされてるんですか?」


「趣味……ですか。ええっと――」



おそらく助け舟を出したつもりであろう三田君の無邪気な質問に、一瞬顔がひきつってしまう。