他人を寝室に入らせることなど想定の外の外。


酔って記憶をなくした私は、いったい何を彼に口走ったのだろう。

それを思うと彼に返信など出来なかった。



“そんなに俺の声が聴きたいですか?”



ずっとずっと欲しかった彼の声の音声データが、世界で唯一、私の携帯に入っている。



(貴方の声が聴きたくてたまらないよ……でも)



ぎゅっと目を閉じると、ぼろぼろと涙がこぼれた。




(貴方は私のこと、どう思ってるの……?)




声にも言葉にも出来ない気持ちを押し流したくて、涙を流し続けた。