キミの知らない物語。【完】







――確かこの倉庫、電気がつくはず……。



手探りで壁を伝って進み、電気のスイッチらしきものを見つけ、つければ、

「……うわ」

暗闇に慣れてしまった目に蛍光灯の光は強く、思わず目を瞑った。



――さて、これからどうしようか。


明るくなった倉庫内を見渡す。改めてよく見ると、埃だらけで古くさい。ところどころに雲の巣が。


こんなところでよくあんなにぐっすり寝れたよね、あたし。


それでも女かよ、と我ながら引いてしまった。



「……どっか他に、出口、無いかな」



苦笑して一人呟き、倉庫内を歩き回る。


まあ当たり前だけど、そんなに都合よく他の出口や隠し通路があるはずも無く。あるのは小さな窓だけだった。


もちろん、普通の女子高生であるあたしが通れるような大きさの窓ではない。


そこから外を見てみると、やはり雨が降っていて、それも結構強い。


……ここから出られたとしても、傘なんか持ってないし帰るのさえも大変そうだ。やっぱり、明日明るくなるまで待つしかないよねー……。


――瞬間、稲妻が光り、酷い音と共に雷が落ちて、息を呑んだ。



「――わっ」



頭を抱え、その場に蹲る。