「いいぞっ! 智哉、行けーーーっ!」 応援席が、一気にヒートアップする。 棒を支えている白組の一団の上に乗った智哉は、足を引っ張られながらも、棒に食らいついている。 「すごい、すごいっ!」 「智哉、そこだ、行けーーーっ!」 周りの大声援に負けないように、あたしも声を張り上げる。 「智哉---っ!」 するとそのとき。 「あぁっ、メガネっ!」 智哉のメガネが、だれかの手にぶつかり、吹き飛ばされるのが、遠目に見えた。