「…あ、私は、
まきって言います。
如月 愛姫。」
「そう、愛姫ちゃん。」
にっこりと笑った彼女の瞳は、
笑っていなかった。
「ほら、もうすぐ授業の時間じゃない?
教室に行った方がいいんじゃないの?」
「あ、そうだ。
愛姫、行こう?」
先輩の手が促す。
「あ、はい…」
何だか、落ち着かない。
「あっ、愛姫‼
やっと来た‼
ねぇ、さっきのって、
雨宮華憐だよね⁉」
「…うん。」
芹花の話も、ろくに耳に入らなかった。
何だろう、この違和感。
もしかしなくともみんな、私に
何かとんでもない隠し事を…?


