「…はぁ。
もういいです、行きますよこのまま。」


「あれっ、許してくれた?」


「違います、諦めたんです。」


そして、歩き出そうとした時


「…ちょっと、ごめん。」


体を横にして、私を追い抜いた人物。


「…あ」


…瞬…


明らかに気まずそうな顔をして、


瞬は耳にイヤホンを入れた。


別に、普通の行為なのに


何だか、凄くさみしかった。


この間までは、こうやって音楽を聴いて、


人の話なんてまるで聞いていない瞬の横で


私が一人で喋っているのが普通だったのに。