赤い狼と黒い兎Ⅱ




ジッとあたしを見つめる唯兎。


怒ってるような、悲しんでるような…。


いろんな感情が入り交じった目を向けられる。




『唯…?』

「なぁ、馨」

『うん?』

「―――俺の事、…ちゃんと好き?」




ハッと息を呑んだ。


今の唯兎に、さっきの怒りはない。ただ、不安と寂しさと焦りが見える。


そんな唯兎は、弱々しく頼り甲斐がなかった…。


―――…自然と、不安にさせてたんだ…。


あたしは唯兎を包み込むように、そっと…力強く抱き締めた。




『…うん。好き。好きだよ唯兎…』