赤い狼と黒い兎Ⅱ




でも今考えると、絶っ対起きない。あたしが。


約束の時間は7時。それまでに準備やらなんやらしなきゃいけない。


それに…唯兎たちに勘づかれるのだけは避けたい。


だったら、やっぱ寝ない方が賢明か……。




『ダメ。唯、寝たら起きないし』

「…それは馨だろ。さっきは眠いって言ってたクセに」

『さっきはさっき。』




この際寝てもらった方が帰りやすい…?


でもそんな事したら絶対怒る。


……はぁ。疲れる。




「よくわかんねぇな…」

『ん?』




スルリ、と離された腕。


不思議に思って、唯兎を見上げた。