赤い狼と黒い兎Ⅱ




「おかえりなさい!」




そいつが浮かべていたのは、涙なんかじゃなくて。


キラキラとした笑顔だった。




『………』




まさに拍子抜け。まさに面喰らった感じだ。




「馨さん…?」

『お、おお…。た、だいま…』

「はい!」




ニコニコと笑うそいつにあたしも釣られて笑った。


またここに戻って来られて、良かった…。


改めてそう思い直したあたしだった。




『んじゃ、お前がピッカピカにしてくれたこいつで行って来るわ!』

「はい!お気をつけて!!」




倉庫にいる下っぱたち全員に手を振り、吹かしてからバイクを発進させた。