赤い狼と黒い兎Ⅱ



下っ端の顔を見ると、目に涙を溜めてあたしを見ていた。




『は、ちょ…』

「あっ…す、すいません!馨さんにそう言ってもらえて嬉しくて……」




―――どうしてmoonのみんなはあたしにこうも、忠実なんだろうか。


あたしが“やれ”なんて一言も言ってないのに、自分から率先してやる。


あたしが自分勝手にmoonを辞めた時も、こいつらはあたしの帰りを待っていた。




『………ありがとな』

「へ…?」

『いろいろ、ありがと。…待たせて悪かったな』




また泣き出すか…?


そう思っていたあたしだけど…―――