後ろにいた下っぱがそう言った。 『ああ…。お前がやったのか?』 「はい!勝手とは思いましたけど、やっぱ馨さんにいつでも使ってもらえるように」 ワックスが塗られてるのか、自分の顔がバイクに写った。 ―――口角が、上がっていた。 自分でも無意識だったんだろう。それに驚いた。 「すいません余計な事して……」 『―――…いや、いいよ』 「え?」 バイクのハンドルを握って、ふっと笑った。 『相手してやれなかったからな。…お前に触ってもらってこいつも喜んでるよ』