赤い狼と黒い兎Ⅱ




「まぁなー…。でも、今となっちゃそれも昔話よ」

『……相変わらず都合の良いやつ』




は、と鼻で笑って自分の右手を見た。


…嶽の言うように落としても良かったけれど、さすがに女相手にそれはやり過ぎかなって。


あたしだって女を殴りたくはないし、余計な怪我をさせて恨まれるのは嫌だ。




「……ありがとな、馨」

『……は?』




ぽん、と頭に手を乗せられあたしはわけがわからず怪訝な顔をする。




「お前のおかげで前向けそうだわ」

「俺も。……そろそろ馨離れ、しなきゃな」




ぐぐぐ…っと何かを耐える瑠宇と、後ろから抱き締めてくる唯兎。


…瑠宇の顔と何か関係あるのか?




『………別に、お前らのために殺りあったわけじゃないんだけど』

「うん。けどさ、乱鬼と殺り合うってのは…少なからず俺らの事も入ってるだろ?関係ねぇとは言えねぇじゃん」