赤い狼と黒い兎Ⅱ




「じゃあ、その女って二股してた…ってワケ?」




亜稀羅が気づいたように言うけれど、あたしはそれに違うというように首を横に振った。




『違う。…嶽はその女に騙されてたんだよ。ほんとは全て乱鬼を総長によって仕組まれた事…』

「利用されてたって事?」

『そうだよ』




はぁ、と一息つくと歩南さんはにっこりと笑ってテーブルに頬杖をついた。




「で、今度のデカイ抗争って“乱鬼”と殺り合うんでしょ?」

「……え?」

「乱鬼…と?」




冗談だろ、と2人から見つめられるけれど嘘ではない。


下が上を潰しそうとすることは別に不思議なことじゃない。むしろ当然のことなんだ。




『……そうですね』

「それは馨の個人的な殺り合い?それとも嶽のため?」

『―――…違いますよ』




ハッキリとした声で、歩南さんの目を見つめて言った。




『先に仕掛けてきたのは乱鬼の方ですよ。…あたしは無駄な争いはしない主義なので』

「……おー。成長したね?昔は誰彼構わず殺ってたのに」

『………昔話はやめて下さい』