「お待たせ」
『ありがとうございます』
「いえいえ。他の2人は今出掛けててさ。もうすぐ帰ってくると思うから」
何も言わなくても状況で察してしまうところは、さすが情報参謀だ。
『手間はかけません。少し聞きたい事があって来ました』
「………」
歩南さんはコーヒーを飲む手を一瞬だけ止め、あたしをちらっと見た。
「…聞きたい事、か。それは俺が答えられる話?」
『朱雀を……嶽をよく知る歩南さんなら』
そう言うと歩南さんは目を見開かせて驚いていた。嶽が捕まってからは、あたしの口から“嶽”なんて出ることなかったもんな。
「嶽…か。アイツ、元気にやってるか?」
『もちろん。瑠宇の元で一緒に働いてますよ』
「そっか…」
目を伏せて手元を見つめる歩南さん。歩南さんからしたら嶽は弟みたいなもんだったし、捕まったって聞いたときはショックだっただろうな…。
それ以来、顔を見なくなったのが何よりの証拠だろう。
「…で、聞きたい事って?」
さっきの雰囲気から一転探るような目で見てくる。
『―――…嶽と付き合ってた女の事です』
「……え?」

