赤い狼と黒い兎Ⅱ




「お待たせ」

『ありがとうございます』

「いえいえ。他の2人は今出掛けててさ。もうすぐ帰ってくると思うから」




何も言わなくても状況で察してしまうところは、さすが情報参謀だ。




『手間はかけません。少し聞きたい事があって来ました』

「………」




歩南さんはコーヒーを飲む手を一瞬だけ止め、あたしをちらっと見た。




「…聞きたい事、か。それは俺が答えられる話?」

『朱雀を……嶽をよく知る歩南さんなら』




そう言うと歩南さんは目を見開かせて驚いていた。嶽が捕まってからは、あたしの口から“嶽”なんて出ることなかったもんな。




「嶽…か。アイツ、元気にやってるか?」

『もちろん。瑠宇の元で一緒に働いてますよ』

「そっか…」




目を伏せて手元を見つめる歩南さん。歩南さんからしたら嶽は弟みたいなもんだったし、捕まったって聞いたときはショックだっただろうな…。


それ以来、顔を見なくなったのが何よりの証拠だろう。




「…で、聞きたい事って?」




さっきの雰囲気から一転探るような目で見てくる。




『―――…嶽と付き合ってた女の事です』

「……え?」