ドアから顔を覗かせるその人に見覚えがあり、少しだけ、息を呑み込んだ。
なんだか…、少しやつれた…?
「―――…いつか来ると思ってたよ」
もう声なんて覚えていなかったけれど、でもこんなしゃがれた声ではなかったハズだ。
数年で、何かあったのか…?
『……お久しぶりです、“歩南”さん』
浅く会釈すれば、歩南さんはにっこりと微笑んだ。
ああ、笑った顔は昔と変わらない。
「立ち話もなんだし、中へ入りないよ」
『急に押し掛けてすいません』
「いやいや。俺らこそ悪いね、総会にも顔出してやれなくて」
申し訳なさそうに目尻を下げる歩南さんにあたしは頭を振り「失礼します」と部屋へ入った。
「茶出すから、テキトーに座ってて」
『はい』
テキトーって言われても…。こんな狭い部屋に男3人で住んでるのか?どれだけ厳しい生活してるんだよ。
「な…歩南さんって」
『ん。先代だよ。瑠宇と同じ代』
「やっぱり…。前もって言えよ…」
コソコソと耳打ちし合って、唯兎が溜め息をついたと同時に歩南さんが帰ってきた。

