『…面倒くさいからしない』



机に突っ伏し、腕の中に顔を疼くめ窓の外を眺めた。


するとガラガラと教室の扉が開き、そこから加奈子が入ってきた。




「はい、勉強道具しまいなさーい。カンニングはしないことー」




隣にいる向日葵はそわそわとしだして、落ち着きがなかった。




「諦めないで最後までやりなさいよ。じゃあ、始め」




加奈子は問題用紙と解答用紙を配り終えてからそう言った。


1時間目は国語。


問題用紙をしばらく見つめてから、シャーペンを走らせ約10分。


さっさとやって終わらせたあたしはそのまま寝た。



―――――――――
――――――
――――




「はい、やめ。シャーペン置いて、後ろから集めて〜。あ、郁、馨の代わりに集めて」

「はいはい」




ガタガタと動く椅子の音が聞こえ、ゆっくりと目を開けた。




「じゃ次、数学だっけ?頑張りなさいよー」




そういう加奈子の声を聞いて首を動かし、体を起こした。


……いつの間にか終わってた。


はぁ、と息を吐いてまた寝ようと頬杖をつくと向日葵に話し掛けられた。




「馨!」

『……何、向日葵』




興奮気味の向日葵を横目で見つめた。思いのほか低い声だったのに、自分自身驚いた。




「馨、テスト始まってちょっと経ってからすぐ寝てたけど大丈夫なの?」

「マジ?馨」




みんなに驚くように見つめられて、また溜め息が出た。


…ここに亜稀羅が居てくれたら、あたしの代わりに答えてくれてたのになぁ。面倒くさい…。