テスト当日。久しぶりに登校した学校。クラスに入ると、みんながみんな机に向かって必死に勉強していた。


……意外と、真面目なんだなぁ…。




「そういやさぁ、馨」

『何?』




隣の席にいる向日葵が少しげっそりした顔であたしを見てきた。


郁は前の席で携帯を弄って、その隣の席にいる唯兎は寝てて、向日葵の隣にいる朔弥はパソコンを弄っている。



「俺らに勉強教えてくれるのはいいんだけど、自分の勉強はしてんの?」

『してないけど?』

「即答かよ…」




すると前の席にいた郁が振り向いて「大丈夫なのか?」と聞いてきた。


……何が?




「勉強しなくて」

『ああ…。まぁなんとかなるんじゃない?』

「なんとかって…」

「馨!ここのテスト、ナメてちゃやばいぞ!」




なぜか椅子から立ち上がって力説する向日葵に溜め息をつき、頬杖をついた。


一応、深子達の勉強を教えると同時に一通り教科書は目を通した。


だからと言って100点とれるか、と聞かれれば答えはノーだ。あたしだって勉強はそれなりにしか出来ないし、テストは嫌い。




「テストで1つでも赤点とったら進級出来ないんだぜ?」

『……向日葵、そんな事言う前にちゃんと勉強しなよ。目標、90点に上げるよ?』

「!!」




そう言うや否や顔を青ざめさせていそいそと勉強しだした。


黙ってれば…可愛いんだけどなぁ。




「は、向日葵が真面目に勉強してら」

「黙っとけ郁」




ニヤニヤと笑う郁を向日葵は睨み、またノートに視線を戻した。




「馨はいいの?勉強しなくて」




いつの間にか起きた唯があたしを見てそう聞いてきた。…ついでにでっかいアクビをこぼして。