「あぁ、あのグレーの?」
『そう』
「それならその辺で見た気がするけど…」
辺りを見渡して、ふと後ろを見たら唯兎がさり気なく持っていた。
『……お前が持ってたのか』
「………たまたま見つけたんだよ」
『そうか。返せ』
右手を差し出すと、大人しくカーディガンを手渡す唯兎。
さっきの亜稀羅の話しを鵜呑みにしてるんだろうか…。なんて単純な奴…。
確かに昔から一緒に居るし、家族みたいだけど過保護なんてちょっと言い過ぎ。
『先代…起きたかな』
「先代はもう起きてるんじゃない?」
カーディガンを羽織ってソファーから立ち上がった。
顔だけ後ろに向け唯兎に『お見送り』とだけ言った。

