赤い狼と黒い兎Ⅱ




そんな事を呑気に考えていたら、ガチャリと静かに扉が開いた。


…ちょっと、この状況だいぶヤバくない?


相手が亜稀羅じゃない事を祈りたい。




「あ」

「……何してんの?」




…あたしの祈りも儚く散った。というかほぼ足音で分かったけど、信じたくなかった現実。




「いや、別に?」

「…それが“別に”って言える状況か?」




ごもっともで…。


あたしはソファーに押し倒されてるし、半分脱がされてるし、唯兎は馬乗りになってるし。


なんとも言えない状況。


しかも見られたのが亜稀羅という。




「付き合ってんだから、何やったっていいだろ?」




…珍しく唯兎が強気だ…。てかただ邪魔されて怒ってるだけか?




「そうだなー。…ヤるなら俺にバレないようにヤれよ。」




……なんだその条件!普通に出来ちゃうだろそれ!




「ま、それもそうだな。過保護な弟に見つかっちゃ俺の命がねぇ」

「わかってんじゃん。なら馨の上からさっさと退け。」




いつの間にかソファーの傍に来ていた亜稀羅が唯兎を落とした。


あら…自業自得って事で見るだけしておこう。




「いってーな!落とす事ねぇだろ?」

「馨、大丈夫?」

『う、うん…』

「無視すんな!」

「黙っとけ。ムッツリエロ猿が。」

「ムッ!?」




ムッツリ猿って…。ちょっと笑いそうになったじゃないか。