赤い狼と黒い兎Ⅱ




「馨……」

「おい…何で泣くんだよ…」




…仕方ないじゃん。嬉しいんだから。


“楽しかった”って言ってくれただけでも…あたしは嬉しいよ…。




「馨…、大丈夫?」

『…っん。大丈夫。』

「……なぁ、馨」

『ん…?』




服の袖で涙を脱ぐって、嶽を見た。




「お前に、“瑠衣の話を聞け”って言われた時…ほんとはちょっと動揺したんだ」

『え……』




苦笑いする嶽に、あたしはぽかんとした。




「俺、人の話し何も聞かねぇで突っ走るだろ?」

『…うん』

「それで勘違いとかよくあったよな〜」




昔を懐かしむように目を細める瑠宇。