赤い狼と黒い兎Ⅱ




「…どういう風の吹き回しだか」




琉樹に呆れられながらそう言われた。


ま…いつもの事だわな。




「シュウ、…いいのか?」




琉樹は腕を組んでシュウ…もとい亜稀羅に聞いた。




「まぁ、いいじゃん?俺もそう思うし」

「……どういう風の吹き回しだか。」




今度は溜め息を吐いて、踵を返した。


幹部、下っ端はみんなサツ行き。さっきのリョウって奴だけ、うちが引き取った。


…“喰”は元は薬物や犯罪を犯さない善良な族だった。


いつからか、荒れ果ててしまい今の状態になった。


ただ、何故、いつ、どうしてそうなってしまったのかはあたしにも分からない。


あたしが抜けた事で変わってしまったのか、それともまた別の理由か……。


その謎を解く術は今は何も、無い。