“リョウ”と呼ばれる少年は一瞬怯みながらも強い眼差しであたしを睨んだ。
……あの目、どっかで…。
何故か少年の行動がスローモーションに見えた。
拳を出されれば避け、蹴られそうになればガードし、それの繰り返しだった。
そろそろ少年の息も上がってきて、周りは誰も居ないかのように静かだった。
「涼!!休むなッ」
そう、さっきから引っ掛かる事がある。
何で奴らは自分達で戦おうとしない?何故下っ端にやらせる?
単に負けるのが怖いからか?それとも……───
「オラァ!!!」
ビュンッ
顔面横スレスレで拳が通った。
…今のはマジで危なかった…。
するとチャリ、と金属が触れ合う音が微かに聞こえた。
チラリと少年の胸元を見れば、ゴールドのシンプルなネックレスとシルバーのドッグタグが見えた。
……今の…?
そして一気に頭の中に流れ込んできた映像。

