耳元でコソッと耳打ちしてきた亜稀羅。
「アイツ、まだ中学生だ」
『…の割に体格いいな』
高校生くらいの身長はあるし、その辺の男より少しゴツいくらい。
「唯一まともな奴…かな」
『……ふぅん』
「―――やれよ」
その一言で空気が凍り付いた。
「そいつに、やらせんの?」
「ああ」
そいつがどれだけ根性があるか試してみる、と?
…バカバカしい。人間をなんだと思ってんだ。
「そっちは誰が?」
しかも、1対1でやらせるつもりか?ふっ…上等じゃねぇか。
「じゃあ、オレ…──」
『俺がやる』
「はっ!?」
「…黒狼自ら出てくるなんて、な…」
メンバーが心配そうな顔をしてあたしを見てくる。
…別に本気でやる気無いから。

