赤い狼と黒い兎Ⅱ




耳元でコソッと耳打ちしてきた亜稀羅。




「アイツ、まだ中学生だ」

『…の割に体格いいな』




高校生くらいの身長はあるし、その辺の男より少しゴツいくらい。




「唯一まともな奴…かな」

『……ふぅん』

「―――やれよ」




その一言で空気が凍り付いた。




「そいつに、やらせんの?」

「ああ」




そいつがどれだけ根性があるか試してみる、と?

…バカバカしい。人間をなんだと思ってんだ。




「そっちは誰が?」




しかも、1対1でやらせるつもりか?ふっ…上等じゃねぇか。




「じゃあ、オレ…──」

『俺がやる』

「はっ!?」

「…黒狼自ら出てくるなんて、な…」




メンバーが心配そうな顔をしてあたしを見てくる。


…別に本気でやる気無いから。