赤い狼と黒い兎Ⅱ




「出向いてやろうと思ってたのによ?わざわざそっちから来てくれるなんてな」

「優しいだろ?しかも、たった7人で」

「ああ。…それに黒狼も居るしな」




あたしをチラッと見ると、ニヤリと口角を上げた。


……気持ち悪、鳥肌立った。




『…お前らのボスは、そこの無口な奴か?』

「!」




相手はなぜか驚いた表情をし、すぐに不気味な笑みへと戻した。




「さすが大将、ってところ?よく当てたね」

『(…分かりやすく丁寧な場所に居るしね…)…まぁ、覇気の違いってやつ』




嘘だけど。お前らに覇気なんてこれっぽっちもねーけど。




「へぇ…」

「まっ、喋ってねぇでとっととやっちまおうか」




狼鬼が一歩前へ出れば、喰は少し後退りをした。


…さっきまでデカい口叩いてたクセに。




「……あっ」




薄紫色の髪の毛をした奴が、どこかを見て声を上げた。




「涼!!」




あたしはその言葉に首を傾げた。


……“リョウ”?どっかで聞いたことあるような…。




「馨…」