「出向いてやろうと思ってたのによ?わざわざそっちから来てくれるなんてな」
「優しいだろ?しかも、たった7人で」
「ああ。…それに黒狼も居るしな」
あたしをチラッと見ると、ニヤリと口角を上げた。
……気持ち悪、鳥肌立った。
『…お前らのボスは、そこの無口な奴か?』
「!」
相手はなぜか驚いた表情をし、すぐに不気味な笑みへと戻した。
「さすが大将、ってところ?よく当てたね」
『(…分かりやすく丁寧な場所に居るしね…)…まぁ、覇気の違いってやつ』
嘘だけど。お前らに覇気なんてこれっぽっちもねーけど。
「へぇ…」
「まっ、喋ってねぇでとっととやっちまおうか」
狼鬼が一歩前へ出れば、喰は少し後退りをした。
…さっきまでデカい口叩いてたクセに。
「……あっ」
薄紫色の髪の毛をした奴が、どこかを見て声を上げた。
「涼!!」
あたしはその言葉に首を傾げた。
……“リョウ”?どっかで聞いたことあるような…。
「馨…」

