赤い狼と黒い兎Ⅱ




同時刻、とある倉庫では…────




「総長、もうすぐですね」

「ああ…」

「アイツ…、黒狼だけはぜってー許さねえ……!」



バンッ!

一見、真面目風に見える男は怒りを露わにして机を叩いた。




「まぁ落ち着け。後でたっぷりいたぶってやりゃいいだろ」

「……チッ」

「そーいやさぁ、涼はどこ行ったの?」

「さ。下じゃねーの」

「アイツ…大丈夫なんかねぇ?死ななきゃいいけど」




おどけながら笑う薄紫色の髪をした少年。その少年に続くようにして笑う真面目風な少年。




「運が悪けりゃ、そうかもな」

「ははッ!ひっでぇ奴~」




ケラケラと笑っていた少年が、ピクリと何かに反応し扉を睨んだ。




「?、どうした?」

「…何か来た」




その言葉と同時に、幹部部屋の扉が勢いよく開いた。




「皆さん!大変です!」

「なんだ?」

「ろ…狼鬼が攻めて来ました!」

「何!?」

「おい、行くぞ!!」




慌てる幹部に容赦なく、狼鬼が攻め行ってくる。




「(…先にアッチが動いたか)…チッ」




幹部達は全員部屋を出た。