赤い狼と黒い兎Ⅱ




「早く行くぞ!!」



ゴチン!と唯兎の拳骨を喰らって、涙目になりながらも帰って行く。


……ひま、唯兎の八つ当たりがごめんね…。


ものすごく罪悪感に駈られた。




「兄貴ってほんと言葉足らずなー。そんな不器用なとこ瑠衣とソックリ」

「……うるせーな」

『まぁまぁ。…で?どうしたワケ?』




少し、苦い顔をして話し始めた。




「嶽の事、なんだけどな…?」

「!」

『…うん』




まさか瑠宇の口から“嶽”が出てくるとは思ってもみなかった。