赤い狼と黒い兎Ⅱ




お前…幹部部屋で寝てんじゃなかったのか!?


…いや。春架は“部屋”とだけ言ってた気が…。




《馨さん…?》




ケータイから野田の声が聞こえ、溜め息をついてベッドに腰を下ろした。


…別に亜稀羅なら聞かれても問題ないけどね。




『ああ…悪い。なんだ?』

《はい。今日の仕事なんですが……》




やっぱその話か……。


テーブルに置いてあった亜稀羅のタバコを手に取り、1本抜いた。




《少々問題が起きましてね…》

『あ…?問題?』




ジッ…、とライターを付けタバコに近付ける。