赤い狼と黒い兎Ⅱ




『……チッ』




あたしは小さく舌打ちをしてフードを深く被った。


お察しの通り、後ろにいたのは春架たちだ。


野田率いるサツは目立たないように待機しているらしい。


ガキに頼るなんて恥ずかしくねぇのかあのハゲ…。




「思ったより、増えてるみたいだな…」

『それが現状だ。…白、左の路地裏』

「りょーかい」




そう言って走る白、もとい春架。


あたしたちには元からあだ名が決まっている。


春架なら白…〝白狼〟からきてる。


あたしは黒…〝黒狼〟だからクロ。