覚君はUタ-ンして帰って行った。


ごめん、

ありがとね覚君。


あたしちゃんとお礼言わなかったな、

後でちゃんと言わなきゃ。


ゴクリと息を飲み込んで土方さんの車に向かって歩く。


眠っているの?

車の中で動かない。


どうしよう。


でも、このままってわけにもいかないし、

窓ガラスを軽くノックする。


コンコン


堅い乾いた音

はっと気がついたように身じろいだ後、

あたしを見上げて、

ホッとした顔をした。


ドアを開けて飛び出すように出て来て、

「ごめんなさい。」

といきなり謝ってきた。