小さな幸せ

震える指でチャイムを押す。

辺りが静まり返って

小さな物の動きでも感じ取れるほど、

冷たく凍りついたように空気さえ動かなかった。


カタカタと、人の気配が近づいて

目の前の引き戸がガラッと開いた。


「なっ、土方?」

そこには会いたくて会いたくて、

恋しい人の驚いた顔があった。



全身が冷え切って、心が凍りつく直前だった。

「せ ん せ 、、」

やっと動く唇が

その一言を紡ぎ出す。


「震えてんじゃないか。

 馬鹿っお前いつから ここに。」


寒さと、緊張と、疲れからか


円の意識が遠のいて行った、、、


「あなたに、会えた、、、」